狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】

その74

「な、なぁ…お前が言ってるのって夢の話だろっ!?いい加減目を覚ませよっっ!!」



力なく視線を下げ、俯く仙水に必死の想いで腕を掴んだ少年だったが…


「……」


無言のままその腕は強く振り払われてしまった。


「仙水っ!!」


しかし少年は引き下がらない。


「お前…っ…実在しない夢の女…いつまでも追いかけるのやめろよっっ!!」


「……」


尚も声を荒げる少年に仙水は口を開こうとしない。


夢だと言い張り、隠し通そうとする蒼牙へ徐々に苛立ちを覚える仙水。



「…エデン殿を…呼んで…ください…」



「……」



「……」



ポツリと呟いた仙水の言葉に九条と少年が眉間に皺を寄せる。



「…っい、いい加減にしろっ!!お前どうしちまったんだよっっ?!一番大切なもの忘れたのかっ!?」



「……呼んでください…」



「おまっ…」



耳を向けず、一段と低くなった仙水の声に再び少年が声を荒げようとした。が…




(…彼女は…アオイさんは夢の住人などではないっ!!紛れもなく悠久に実在している!!!)




キッと顔を上げた仙水が二人を睨み、異様なオーラがあたりを包むと…





『いいからエデンを呼べっ!!!』





それからアオイの存在が明らかになるまで…間もなくの事だった―――。














【狂気の王と永遠の愛(接吻)を】…第一部・完







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