狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
アオイの寝室
―――コンコン…
「おはようございますアオイ様」
『……』
「……」
(朝の弱い姫様の事、起きておられるわけがないか…)
アレスは小さく咳払いし、意を決して扉を開く。
「…失礼いたします」
―――ガチャ
初めて入る憧れの姫の部屋。
彼女が城内で勉学を励む際に使用している部屋は、ここより二つ下の階にあるキュリオの執務室のすぐ傍にある一室で行われる。
それらを全て決定したのはもちろんキュリオだった。
万が一の際、すぐに駆けつけられるようにとの配慮だったが、些か過保護すぎるのではないかと誰しもが思った。
だが、執務の合間を縫って彼女の顔を見にやってくる王を見ればわかる。
ただ"愛しい姫と片時も離れていたくはない"のだろうと。
そんなキュリオに寵愛された姫の部屋はやはり美しく、とても可愛らしい調度品が至る所に飾られていた。
部屋にはほんのりと甘い香りが漂い、中には彼女が好む茶葉の香りも含まれていた。
広い部屋を見渡すと右手にソファやテーブル、その奥にクローゼットが並び…
左手には眠り姫を守る巨大な天蓋ベッドが凛々しく聳(そび)え立っている。
―――ゴクリ…
やましい気持ちはないものの、喉を鳴らしてしまうのは男の性(さが)というものなのだろうか?
寝起きの彼女を見たことがないわけではないが、眠っているベッドの中の彼女を見るのは初めてだった。
と…
驚きのあまり目を見開いたアレスの足が床に縫い付けられたように動かない。
「カイ…お前…どうしてここに…」
そこには、アオイと抱き合って眠る…剣士・カイの姿があった―――。
「おはようございますアオイ様」
『……』
「……」
(朝の弱い姫様の事、起きておられるわけがないか…)
アレスは小さく咳払いし、意を決して扉を開く。
「…失礼いたします」
―――ガチャ
初めて入る憧れの姫の部屋。
彼女が城内で勉学を励む際に使用している部屋は、ここより二つ下の階にあるキュリオの執務室のすぐ傍にある一室で行われる。
それらを全て決定したのはもちろんキュリオだった。
万が一の際、すぐに駆けつけられるようにとの配慮だったが、些か過保護すぎるのではないかと誰しもが思った。
だが、執務の合間を縫って彼女の顔を見にやってくる王を見ればわかる。
ただ"愛しい姫と片時も離れていたくはない"のだろうと。
そんなキュリオに寵愛された姫の部屋はやはり美しく、とても可愛らしい調度品が至る所に飾られていた。
部屋にはほんのりと甘い香りが漂い、中には彼女が好む茶葉の香りも含まれていた。
広い部屋を見渡すと右手にソファやテーブル、その奥にクローゼットが並び…
左手には眠り姫を守る巨大な天蓋ベッドが凛々しく聳(そび)え立っている。
―――ゴクリ…
やましい気持ちはないものの、喉を鳴らしてしまうのは男の性(さが)というものなのだろうか?
寝起きの彼女を見たことがないわけではないが、眠っているベッドの中の彼女を見るのは初めてだった。
と…
驚きのあまり目を見開いたアレスの足が床に縫い付けられたように動かない。
「カイ…お前…どうしてここに…」
そこには、アオイと抱き合って眠る…剣士・カイの姿があった―――。