狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
キュリオ、怒りの原因
(…キュリオ様は最初からこの事を…)
ぐっと拳を握りしめたアレスの胸に広がるモヤモヤとした違和感。
(なんだ?この気持ち…)
ふとした感情の乱れに気付いたアレスだが、今はそんなことを考えている場合ではない。
(先にカイを起こさなくては…アオイ様にはうまくごまかさないと)
もし、カイがキュリオに呼び出されたと知れば、この優しい姫は間違いなく父親のもとに走るだろう。
しかし…今日は楽しみにしていた泊りがけの交流会(オリエンテーション)なのだ。
(申し訳ございませんアオイ様…)
アレスはカイの背側にまわると、耳元で彼の名を呟く。
『…カイ起きろ。キュリオ様がお呼びだ』
「…ん…?」
寝ぼけた声を上げた彼だったが…
「…っ…!!」
目を見開いたとたんガバッと飛び起きて口をぱくぱくさせている。
「お前っ…なんでここに…」
カイは周りを見渡し、ここがアオイの部屋であることを確認した上でアレスへと向き直る。
「…今日は特別に許可を頂いてここに来た。キュリオ様が広間にてお前をお呼びだ。すぐに行け」
「…わかった」
まるで心当たりがあるように手元を見つめたカイの動きにアレスは眉間に皺を寄せた。
(カイのやつ…キュリオ様の言いつけを破ったか…)
「……」
カイはその身にやんわりと回されたアオイの腕をほどくと、名残惜しそうにシーツを掛け直しながら姫の肩を撫でる。
「…お見送りは難しそうだな…。いってらっしゃいませアオイ姫様…」
「アレス、あとは頼む」
「……」
静かに立ち去ったカイの背中を見送るアレス。
彼の足音が完全に聞こえなくなったところで小さく息を吐き、眠り姫にそっと声をかけた。
「…アオイ様、朝でございます。そろそろお支度を…」
「…スースー…」
「……アオイ様」
「……」
「……?」
名前を呼ばれたアオイの肩がピクリと反応し、徐々に意識を覚醒させていく彼女の瞼が重く開いた。
「あれ…アレ…ス?」
数回瞬きを繰り返すとカイのように辺りを見回したアオイ。しかし彼女は場所の確認をしたのではない。間違いなく人を探しての行動だった―――。
ぐっと拳を握りしめたアレスの胸に広がるモヤモヤとした違和感。
(なんだ?この気持ち…)
ふとした感情の乱れに気付いたアレスだが、今はそんなことを考えている場合ではない。
(先にカイを起こさなくては…アオイ様にはうまくごまかさないと)
もし、カイがキュリオに呼び出されたと知れば、この優しい姫は間違いなく父親のもとに走るだろう。
しかし…今日は楽しみにしていた泊りがけの交流会(オリエンテーション)なのだ。
(申し訳ございませんアオイ様…)
アレスはカイの背側にまわると、耳元で彼の名を呟く。
『…カイ起きろ。キュリオ様がお呼びだ』
「…ん…?」
寝ぼけた声を上げた彼だったが…
「…っ…!!」
目を見開いたとたんガバッと飛び起きて口をぱくぱくさせている。
「お前っ…なんでここに…」
カイは周りを見渡し、ここがアオイの部屋であることを確認した上でアレスへと向き直る。
「…今日は特別に許可を頂いてここに来た。キュリオ様が広間にてお前をお呼びだ。すぐに行け」
「…わかった」
まるで心当たりがあるように手元を見つめたカイの動きにアレスは眉間に皺を寄せた。
(カイのやつ…キュリオ様の言いつけを破ったか…)
「……」
カイはその身にやんわりと回されたアオイの腕をほどくと、名残惜しそうにシーツを掛け直しながら姫の肩を撫でる。
「…お見送りは難しそうだな…。いってらっしゃいませアオイ姫様…」
「アレス、あとは頼む」
「……」
静かに立ち去ったカイの背中を見送るアレス。
彼の足音が完全に聞こえなくなったところで小さく息を吐き、眠り姫にそっと声をかけた。
「…アオイ様、朝でございます。そろそろお支度を…」
「…スースー…」
「……アオイ様」
「……」
「……?」
名前を呼ばれたアオイの肩がピクリと反応し、徐々に意識を覚醒させていく彼女の瞼が重く開いた。
「あれ…アレ…ス?」
数回瞬きを繰り返すとカイのように辺りを見回したアオイ。しかし彼女は場所の確認をしたのではない。間違いなく人を探しての行動だった―――。