狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】

姿を見せぬ剣士

―――それから、生徒たちとは別に早く集合しなくてはならないキュリオはアオイを残し、一足先に城を出て行った。


「私ものんびりしていられない…そろそろ出発しなきゃ」


(カイ…大丈夫かな)


いつも後をついてくる剣士・カイの姿を探して見渡すが、やはり見送りに出てきた従者たちの中にもその影を見つけることは出来なかった。


「…いってらっしゃいませアオイ様」


「ありがとうアレス」


従者たちから離れ、門を出る直前までアオイのバッグを抱えてくれていた彼に礼をいうアオイに魔導師の彼が表情を曇らせ…言葉を紡いだ。


「先程から…カイの姿をお探しですか？」


「う、うん…今までこういう事がなかったから、どうしたのかなって気になって…」


「…恐らく、カイは帰りにキュリオ様の荷物を預かる役目からも外されていると思います」


「え…？それってどういう…」


「…詳しい事はわかりませんが…アオイ様、どうかキュリオ様のご信頼を裏切るような事はどうぞお控えください」


視線を逸らした魔導師に歩み寄るアオイ。