狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
女の勘
「あっ!トモミ先生っ!!聞いてくださいよぉっ!アラン先生ったら私の残り香がついたら困るってぇ…っ…」
ばっちりラインをひいた目元に涙を浮かべた彼女が抱き着いてくると…
「…生徒たちの話ではアラン先生、お付き合いしてる女性がいるって公言していたらしいですわ」
「えぇ?でもさっきは生徒たちのほうばかり見てたような気がするんですけどぉ…」
「…たまたまでは?」
「それなら残り香がうつったら困るなんて言います!?いやぁんっっ!!その彼女って生徒じゃないのぉっ!?夜毎(よごと)愛し合ってたりしてぇっっ!!」
絶叫しながら泣きわめく彼女に国語の教師の視線が鋭くなった。
「まさか…この生徒の中に?」
すでに校門の前に立ち、生徒たちを迎い入れている彼の姿を凝視する。
そして…無表情なアランの顔が一変、輝くような笑顔に切り替わったその瞬間を彼女は見逃さなかった。
「アラン先生!おはようございますっ」
彼の姿を見つけると嬉しそうに小走りで駆け寄ってきた一人の女子生徒がいる。
「おはようございますアオイさん…今日も本当に可愛らしい。些か大人数ではあるが…君と過ごせるこの二泊三日、とても楽しみにしていた」
「はいっ私もです!」
目的の生徒を迎い入れたアランはそのまま彼女とともに敷地内へと歩いていく。
(あれはたしか…)
早くも国語教師のトモミに目をつけられてしまったアオイ。
果たして二人の間の障害と成り得るのだろうか?