狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
交差する運命
そしてガラリと開け放たれた障子の向こうには…
「わっはっ!畳だっ!!」
随分奥へと案内されて不安になっていたが、良い意味での別室だったようだ。
「特別なお客様をもてなす際に使われております座敷です。どうぞごゆっくり御寛ぎくださいませ」
笑顔で下がって行った男の姿が消えると、ふかふかの座布団に腰をおろしたアオイたち。
「なにこれ!すっごい彫り物!!こっちには鳥の絵が描かれてる!!」
「初めて見るぜこんなの…」
ミキとシュウは部屋のあちこちを動き回り、物珍しそうに調度品を見て歩いている。
そして、アランと向かい合わせに座っているアオイはというと…
「綺麗な景色…」
部屋の中ももちろん美しいが、アオイは目に映るありのままの自然に心を奪われている。
開かれた障子の向こうには湖面を滑る水鳥の姿や、魚のしわざだと思われる波紋がいくつも広がっていた。
「…お気に召しましたか?」
突如、優しい声が響き…
「こんにちは、お邪魔してます」
他人の家に呼ばれた客のように畏まるアオイに、入り口で正座し両手をついた声の主が柔らかく微笑んだ。
「この部屋から一望できる風景もまた…この料亭の財産と言えましょう。こちらの可愛らしいお嬢さんは実に御目が高い…」
色白の肌に紅をひいた唇は、女教師たちとは比べ物にならないほど上品な美しさを醸し出しており、高く結いまとめられた藤色の髪には…一際目を引く玉(ぎょく)のついた簪(かんざし)と呼ばれる飾り物が揺れていたのだった―――。
「わっはっ!畳だっ!!」
随分奥へと案内されて不安になっていたが、良い意味での別室だったようだ。
「特別なお客様をもてなす際に使われております座敷です。どうぞごゆっくり御寛ぎくださいませ」
笑顔で下がって行った男の姿が消えると、ふかふかの座布団に腰をおろしたアオイたち。
「なにこれ!すっごい彫り物!!こっちには鳥の絵が描かれてる!!」
「初めて見るぜこんなの…」
ミキとシュウは部屋のあちこちを動き回り、物珍しそうに調度品を見て歩いている。
そして、アランと向かい合わせに座っているアオイはというと…
「綺麗な景色…」
部屋の中ももちろん美しいが、アオイは目に映るありのままの自然に心を奪われている。
開かれた障子の向こうには湖面を滑る水鳥の姿や、魚のしわざだと思われる波紋がいくつも広がっていた。
「…お気に召しましたか?」
突如、優しい声が響き…
「こんにちは、お邪魔してます」
他人の家に呼ばれた客のように畏まるアオイに、入り口で正座し両手をついた声の主が柔らかく微笑んだ。
「この部屋から一望できる風景もまた…この料亭の財産と言えましょう。こちらの可愛らしいお嬢さんは実に御目が高い…」
色白の肌に紅をひいた唇は、女教師たちとは比べ物にならないほど上品な美しさを醸し出しており、高く結いまとめられた藤色の髪には…一際目を引く玉(ぎょく)のついた簪(かんざし)と呼ばれる飾り物が揺れていたのだった―――。