狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
攻防はアランに
(綺麗な人…)
妖艶な目元に笑みをたたえた彼女は改めて一礼し、室内へと足をすすめた。
「店主から話は聞いております…この度は誠に申し訳ございませんでした。今からお運びします料理の品々は全て当店からのもてなしとさせて頂きますので、お題は頂戴致しません。どうか心行くまでご堪能くださいませ」
アオイとアランを見つめる瞳が悲しみに震え、頭を畳にこすり付けるようにして言葉を述べた彼女の袖が綺麗な弧を描く。
目の前に広がった鮮やかな着物に目を奪われながらアオイは首を振った。
「特別な事はなにもしないでくださいっ…寧(むし)ろ、このお部屋に通していただけて特しちゃったなって思ってたくらいですから」
「あぁ、彼女のいう通りだ。必要以上のもてなしは不要。食事代も学園からの資金で不足ならば私が支払おう」
さらりと太っ腹なことを申し出たアランにミキが小さく拍手している。
「…いいえ、それではお客様方へのお詫びになりません。どうか…」
「え、えっと…」
なんて義理堅い人たちなんだろう…と思いながらも切に願う彼女の様子にアオイはどうしたら良いか困り果て、アランの顔を伺う。
「そこまでいうのなら…今回はその言葉に甘えさせていただく。しかし私たちも時間が惜しい。そろそろ食事を用意願いたいのだが…」
押し問答が時間の無駄だと判断したアランの言葉に彼女は嬉しそうに頷いた。
「お受け頂きありがとうございます。すぐにお持ちいたしますわ」
膝をつけたまま女性が入口から距離を取ると…彼女から了解を受けた女中たちが次々に膳を運んできた。
妖艶な目元に笑みをたたえた彼女は改めて一礼し、室内へと足をすすめた。
「店主から話は聞いております…この度は誠に申し訳ございませんでした。今からお運びします料理の品々は全て当店からのもてなしとさせて頂きますので、お題は頂戴致しません。どうか心行くまでご堪能くださいませ」
アオイとアランを見つめる瞳が悲しみに震え、頭を畳にこすり付けるようにして言葉を述べた彼女の袖が綺麗な弧を描く。
目の前に広がった鮮やかな着物に目を奪われながらアオイは首を振った。
「特別な事はなにもしないでくださいっ…寧(むし)ろ、このお部屋に通していただけて特しちゃったなって思ってたくらいですから」
「あぁ、彼女のいう通りだ。必要以上のもてなしは不要。食事代も学園からの資金で不足ならば私が支払おう」
さらりと太っ腹なことを申し出たアランにミキが小さく拍手している。
「…いいえ、それではお客様方へのお詫びになりません。どうか…」
「え、えっと…」
なんて義理堅い人たちなんだろう…と思いながらも切に願う彼女の様子にアオイはどうしたら良いか困り果て、アランの顔を伺う。
「そこまでいうのなら…今回はその言葉に甘えさせていただく。しかし私たちも時間が惜しい。そろそろ食事を用意願いたいのだが…」
押し問答が時間の無駄だと判断したアランの言葉に彼女は嬉しそうに頷いた。
「お受け頂きありがとうございます。すぐにお持ちいたしますわ」
膝をつけたまま女性が入口から距離を取ると…彼女から了解を受けた女中たちが次々に膳を運んできた。