狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
異文化の香り
「……」
「…お褒め頂きありがとうございます」
わずかな沈黙の後、愛想笑いを浮かべた彼女。
その微妙な変化に気づいたアオイは…
(すぐに言えなかった事…気を悪くさせちゃったかな…)
お世辞で言ったわけではないが、社交辞令と勘違いさせたかもしれないという罪悪感がアオイの心に残ってしまった。
「さーっ!たべよたべよっ!!おなかすいちゃったよー!!」
そんな沈んだアオイの気持ちを払拭させるようにミキが隣りに戻ってきた。
「あ…外で嗅いだ匂いこれじゃない?」
ミキは黒塗りの椀に注がれた汁ものを見つめ鼻先を近づけている。
「こちら蛤(はまぐり)のお吸い物です。三つ葉を散らせてお召し上がりください」
彼女の言葉を掛け声に、女中たちがなにやら小さな葉を椀に散らせていく。
「よい香りだな…香草の一種か?」
「はい、セリ科の香味野菜でございます」
「へぇ…んでこっちが"刺身"?」
さすがシュウはある程度食についての知識があるようで、食べ方も様になっている気がする。
「アオイ、アンタ箸の使い方上手だねー」
ミキが感心したようにアオイの手元を覗き込む。
「そうかな…?これでいいのかもわかんないけど…」
自信のないアオイとミキはチラリとアランの右手を見つめてみた。
「…まぁアラン先生が何でもこなせちゃう感はあったけどね…」
「…どうかしたかい?」
見事な箸捌きで違和感さえ感じないアランに笑みがこぼれる。
「…お褒め頂きありがとうございます」
わずかな沈黙の後、愛想笑いを浮かべた彼女。
その微妙な変化に気づいたアオイは…
(すぐに言えなかった事…気を悪くさせちゃったかな…)
お世辞で言ったわけではないが、社交辞令と勘違いさせたかもしれないという罪悪感がアオイの心に残ってしまった。
「さーっ!たべよたべよっ!!おなかすいちゃったよー!!」
そんな沈んだアオイの気持ちを払拭させるようにミキが隣りに戻ってきた。
「あ…外で嗅いだ匂いこれじゃない?」
ミキは黒塗りの椀に注がれた汁ものを見つめ鼻先を近づけている。
「こちら蛤(はまぐり)のお吸い物です。三つ葉を散らせてお召し上がりください」
彼女の言葉を掛け声に、女中たちがなにやら小さな葉を椀に散らせていく。
「よい香りだな…香草の一種か?」
「はい、セリ科の香味野菜でございます」
「へぇ…んでこっちが"刺身"?」
さすがシュウはある程度食についての知識があるようで、食べ方も様になっている気がする。
「アオイ、アンタ箸の使い方上手だねー」
ミキが感心したようにアオイの手元を覗き込む。
「そうかな…?これでいいのかもわかんないけど…」
自信のないアオイとミキはチラリとアランの右手を見つめてみた。
「…まぁアラン先生が何でもこなせちゃう感はあったけどね…」
「…どうかしたかい?」
見事な箸捌きで違和感さえ感じないアランに笑みがこぼれる。