狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】

現れたのは…

「はーい」


ガラガラと心地良い扉の奏でる音に、"和室"特有の風情を感じたアオイは静かに耳を傾け聞き入っている。


(学園の茶道室で聞き慣れているはずなのに…とても懐かしい気がする)


「あれー!?何その格好!!」


「へへっいいだろー!」


(この声…)


「シュウ?」


ミキの後ろから顔を覗かせたアオイにシュウの笑顔が輝いた。


「よっ!アオイ!!」


「わぁ…っ!すごく素敵な着物」


「だろ?…見直したか?浴衣(ゆかた)っていうらしいぜ!」


「うんうんっ!とってもカッコイイ!」


両袖をその先の指で押さえ、袂(たもと)を広げて見せる彼にアオイは賞賛の拍手を送る。


「お前らの部屋にも置いてあるはずだぜっ!着替えて遊びにいかねぇか?」


シュウのキラキラした瞳に誘われ、胸を弾ませるアオイたち。


「アオイ!うちらもちょっと来てみようよ!」


「うんっ!賛成っ!!」


「女子の部屋って結構広いんだな…俺も入っていいか?」


「いいわけないでしょ!!」


鋭い突っ込みをいれられ、ぐいぐいと廊下に押しやられるシュウ。

そして…何の気なしに履物を脱ごうとした彼の足元を見ると…


< 758 / 871 >

この作品をシェア

pagetop