狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
危険な吐息
「"あのキュリオ様"には違和感がありましたけど…お父様の"ティーダ様"は本当に美しくて…」
アオイは担任教師の扮した"キュリオ"を思い浮かべ、柔らかな笑みを滲ませる。
「……」
そして再び黙り込んでしまったキュリオに気づかぬアオイはこう続ける。
「ミキも言ってました…こんな素敵なヴァンパイアなら吸血されても許せるって」
「…も?」
「はい、もちろん私も……」
「そうか…」
深い意味があって口にした言葉ではないのだが、妙に嬉しそうに笑うキュリオ。
「…アオイはいけない子だね…」
キュリオの顔がこれ以上にない程に近づき、今にも唇が触れてしまいそうな距離を詰める。
「…ヴァンパイアの唾液には人に快楽を与え…気分を高揚させる効果があると聞く…」
「…っ…!」
(お父様の瞳が…深い青色に染まっていく…!)
時折見せるキュリオの怪しげな瞳がじわりじわりと顔を覗かせ始めた。
「そ、それでもっ…お父様はヴァンパイアじゃな…っ…」
「…試してみようか…?」