狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
謎の館
キュリオは前方に聳え立つ洋風の館に目標を定めると薄暗いランプに照らされた古い門を駆け抜けていく。
月の光が夜空を漂う雲の波に呑まれてしまったため、人並みの視力しかもたないアオイは時折揺れて道標となっている頼りのない灯(ともしび)を目で追うしかなかった。
(お父様は迷わず進んでいるけれど…王様は目も良いのかしら?)
あっという間に洋館の扉の前に立ったアランに合わせ、古びた扉が音をたてて開き始める。
―――ギィィッ
寂れた外装とは異なり、足を踏み入れた二人の先に広がったのは…
「すごいシャンデリア…」
まるで宝石を数百も散りばめたかのような巨大なそれが高い天井からこちらを見下げている。
そして、室内へいるにも関わらず…
「お父様、もう一人で歩けます。おろし…」
「……」
キュリオはアオイの声を無視し、紅の絨毯の上を大股で歩いていく。
彼の足は正面の階段を上がり終えると二階の通路を進み…行き当った重厚な扉を抜けて、さらに見えた螺旋階段を上って行った。
(…一体どこに向かっているの?)
不安にかられながら両脇の壁に目を向けるアオイ。
(銀の燭台…?)
その光景にアオイは見覚えがあった。
二人の行く先々を照らすのは古びたランプではなく、悠久の城でもよく見かける繊細で美しいあの銀の燭台だったからだ。
やがて…
高さにして五階分ほどのところで方向を変えたキュリオ。
そしてアオイはようやく確信した。
(もしかして…ここって…)
月の光が夜空を漂う雲の波に呑まれてしまったため、人並みの視力しかもたないアオイは時折揺れて道標となっている頼りのない灯(ともしび)を目で追うしかなかった。
(お父様は迷わず進んでいるけれど…王様は目も良いのかしら?)
あっという間に洋館の扉の前に立ったアランに合わせ、古びた扉が音をたてて開き始める。
―――ギィィッ
寂れた外装とは異なり、足を踏み入れた二人の先に広がったのは…
「すごいシャンデリア…」
まるで宝石を数百も散りばめたかのような巨大なそれが高い天井からこちらを見下げている。
そして、室内へいるにも関わらず…
「お父様、もう一人で歩けます。おろし…」
「……」
キュリオはアオイの声を無視し、紅の絨毯の上を大股で歩いていく。
彼の足は正面の階段を上がり終えると二階の通路を進み…行き当った重厚な扉を抜けて、さらに見えた螺旋階段を上って行った。
(…一体どこに向かっているの?)
不安にかられながら両脇の壁に目を向けるアオイ。
(銀の燭台…?)
その光景にアオイは見覚えがあった。
二人の行く先々を照らすのは古びたランプではなく、悠久の城でもよく見かける繊細で美しいあの銀の燭台だったからだ。
やがて…
高さにして五階分ほどのところで方向を変えたキュリオ。
そしてアオイはようやく確信した。
(もしかして…ここって…)