狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
変わりゆく愛のカタチ
「…その通り…この館は王の所有物。もちろんお前のものでもある…」
アオイの言いたい事など手に取るようにわかる。
例え彼女が本当の親と暮らしていたとしても、叶わぬほどの愛と想いを注いできたキュリオにとってもはやアオイは愛娘の域を超えた唯一の存在だからだ。
「…私のお部屋もあるんですか?」
いつかこの館に滞在する事になったとしても…まさか一日の全てをキュリオの部屋で過ごす事はないだろうと、そんな事を口にしてしまったアオイだが…
「…ここは城ではない。他人の目を気にする必要がどこにある?」
「で、でも…」
戸惑うアオイを余所にキュリオはひとつの扉へと入っていく。
「…っ…」
そこにはキュリオらしからぬ色使いの光景が広がって…
(…真紅のベッド…?なんだかお父様じゃないみたい…)
いつもは白と銀使いでまとめられた上品で清楚のイメージが強い彼だが、今のキュリオとこの部屋は…
(まるで本物の…ヴァンパイア)
「お父様…なんだか怖い…です」
キュリオの胸の中で緊張に身を強張らせたアオイ。
「…それくらいで丁度いい。最近のお前はどうも私以外の男に心を奪われているような気がしてならない…」
「…え?」
(なんの事…?)
身に覚えのないアオイは不安の色を濃くしたまま、上目使いでキュリオの顔を覗き見る。
「…覚悟しなさい。今夜はアオイの思考もすべて…私が支配する」