狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
罪の代償
乾燥した空気と古びた建物のせいで、その勢いに拍車がかかる。
「いやぁね!姐さんと鉢合わせしちまったときはバレたっ!!って思いやしたがね!?小さな火種を使っておびき出せるなんてぇまったく面白れぇように事が運ぶんで!!こっちが騙されたかと思いやしたよ!!」
まるで子供が悪戯の成功を喜んでいるかのごとく両手を叩いて興奮した様子を見せる男。その顔から悪びれた様子はまったく感じず、罪の意識も感じられない。
そして男は足元に転がる血のついた角材を投げる。"大和撫子"を殴った凶器がそれであることに間違いなかった。
瞬く間に炎に包まれた角材はあっというまに墨と化して…
「ほぉおおっ!よく燃える燃えるぅっ!!これが"油"の威力かっっ!!あとはここに姐さんを放り込んでっと…」
―――ボトボトッ…
「あ?」
何かが落下した音に男は足元を見つめた…と、同時に切り口からは血しぶきが上がり男の顔と体をどす黒く染め上げていく。
「…あ…あ……っ…ギャアアアッッッ!!」
落下したのは男の両腕だった。
足元にできた血だまりの上を打ち回る男は何を思ったか両腕を拾おうと醜い虫にように這いつくばっている。が…
男の真後ろに立つ人影がその腕を火の中に蹴り上げてしまった。
弧を描いた二本の腕はあっというまに炎に包まれていく。
「お、俺の腕がぁっっっああぁあああっ!!てんめぇええっっ!!」
憎悪に血走った眼差しが人影に向けられると真っ赤な番傘を広げた人物がゆっくり振り返った。
「まっ…まさ…まさかっ…っ…」
とたんに恐怖と化した男の目がこれ以上になく見開かれていく。
「いやぁね!姐さんと鉢合わせしちまったときはバレたっ!!って思いやしたがね!?小さな火種を使っておびき出せるなんてぇまったく面白れぇように事が運ぶんで!!こっちが騙されたかと思いやしたよ!!」
まるで子供が悪戯の成功を喜んでいるかのごとく両手を叩いて興奮した様子を見せる男。その顔から悪びれた様子はまったく感じず、罪の意識も感じられない。
そして男は足元に転がる血のついた角材を投げる。"大和撫子"を殴った凶器がそれであることに間違いなかった。
瞬く間に炎に包まれた角材はあっというまに墨と化して…
「ほぉおおっ!よく燃える燃えるぅっ!!これが"油"の威力かっっ!!あとはここに姐さんを放り込んでっと…」
―――ボトボトッ…
「あ?」
何かが落下した音に男は足元を見つめた…と、同時に切り口からは血しぶきが上がり男の顔と体をどす黒く染め上げていく。
「…あ…あ……っ…ギャアアアッッッ!!」
落下したのは男の両腕だった。
足元にできた血だまりの上を打ち回る男は何を思ったか両腕を拾おうと醜い虫にように這いつくばっている。が…
男の真後ろに立つ人影がその腕を火の中に蹴り上げてしまった。
弧を描いた二本の腕はあっというまに炎に包まれていく。
「お、俺の腕がぁっっっああぁあああっ!!てんめぇええっっ!!」
憎悪に血走った眼差しが人影に向けられると真っ赤な番傘を広げた人物がゆっくり振り返った。
「まっ…まさ…まさかっ…っ…」
とたんに恐怖と化した男の目がこれ以上になく見開かれていく。