狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
胸の中のひと
アオイの顔のすぐ傍にキュリオの顔があり、彼の手は彼女の心の臓付近を愛おしげに指先でなぞっている。
「この胸の中にいるのは誰だろうね…」
「…え…?」
「ダルド、カイにアレス…学園の友人と…」
(お父様がおっしゃっているのは心の中の話なのね…)
「それならもちろんお父様も入っています」
安心させるつもりでアオイはそう言ったのだが、キュリオは気に入らなかったらしい。
その言葉にピタリと指を止めたキュリオ。
「……」
「…私の胸にはお前しかいないというのに…」
「…おとう、さま…?」
(そんなわけない…王様は民の事を一番に想って下さるお方…)
端々に感じるキュリオの言葉は危険が潜んでいる気がする。
(たまにお父様がわからない…気持ちがすれ違っている気がするのはどうして…?)
「お前の世界に私しか存在しなければいいと本気で思うときがある」
「それは…」
キュリオに見下ろされたアオイは困惑の色を浮かべている。彼女が今まで出会ってきた人たちが存在しない世界など考えられないからだ。
(お城の優しい人たちに学園の皆…誰もいなくなって欲しくない)
悲しそうに眉間に皺を寄せたアオイが何を考えているかなど一目瞭然だった。すると…
「…私しか知らない幼い頃の記憶を呼び覚まそうか?」
胸のあたりをなぞっていたキュリオの指先が流れるように這い上がり、繰り返し頬を滑る。
「この胸の中にいるのは誰だろうね…」
「…え…?」
「ダルド、カイにアレス…学園の友人と…」
(お父様がおっしゃっているのは心の中の話なのね…)
「それならもちろんお父様も入っています」
安心させるつもりでアオイはそう言ったのだが、キュリオは気に入らなかったらしい。
その言葉にピタリと指を止めたキュリオ。
「……」
「…私の胸にはお前しかいないというのに…」
「…おとう、さま…?」
(そんなわけない…王様は民の事を一番に想って下さるお方…)
端々に感じるキュリオの言葉は危険が潜んでいる気がする。
(たまにお父様がわからない…気持ちがすれ違っている気がするのはどうして…?)
「お前の世界に私しか存在しなければいいと本気で思うときがある」
「それは…」
キュリオに見下ろされたアオイは困惑の色を浮かべている。彼女が今まで出会ってきた人たちが存在しない世界など考えられないからだ。
(お城の優しい人たちに学園の皆…誰もいなくなって欲しくない)
悲しそうに眉間に皺を寄せたアオイが何を考えているかなど一目瞭然だった。すると…
「…私しか知らない幼い頃の記憶を呼び覚まそうか?」
胸のあたりをなぞっていたキュリオの指先が流れるように這い上がり、繰り返し頬を滑る。