狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
足手まとい
わずかに肌蹴たアオイの胸元をなおすキュリオ。
そして震える彼女の頬をひと撫でしたキュリオはスッとベッドから立ち上がり、自身の服装を整えながら窓辺に近づいた。
「お、お父様…一体何が起きているのです?!」
慌てて父の後ろを追いかけようとしたアオイだが、キュリオの横顔が赤く照らされていることに気づいてしまった。
(まずいな…死者が出ている可能性も考えられる)
「…城の者を民の救出にあたらせ、私もすぐ向かおう」
「お待ちくださいお父様!!わ、わたしも…っ…」
「…魔術の使えないお前では危険すぎる。私が戻らなければアレスを迎いに来させよう」
不安そうに胸元で手を握りしめている愛らしいアオイの額に口付を落とす。
バルコニーへと続くガラス戸を開くとすでにいくつもの火の手があがり、夜の街を火の粉が飛び交っていた。
(…これは人為的なものだな…)
すぐさま翼を広げ飛び立ってしまったキュリオの引く銀色の光をアオイはじっと見つめている。
「お父様…」
(…魔術が使えなくても何か出来る事があるはず…)
「せめて取り残された人がいないかだけでも…」
浴衣の帯を少し緩め、裾を楽にしたアオイはキュリオの結界に守られた館を勢いよく飛び出して行った―――。
そして震える彼女の頬をひと撫でしたキュリオはスッとベッドから立ち上がり、自身の服装を整えながら窓辺に近づいた。
「お、お父様…一体何が起きているのです?!」
慌てて父の後ろを追いかけようとしたアオイだが、キュリオの横顔が赤く照らされていることに気づいてしまった。
(まずいな…死者が出ている可能性も考えられる)
「…城の者を民の救出にあたらせ、私もすぐ向かおう」
「お待ちくださいお父様!!わ、わたしも…っ…」
「…魔術の使えないお前では危険すぎる。私が戻らなければアレスを迎いに来させよう」
不安そうに胸元で手を握りしめている愛らしいアオイの額に口付を落とす。
バルコニーへと続くガラス戸を開くとすでにいくつもの火の手があがり、夜の街を火の粉が飛び交っていた。
(…これは人為的なものだな…)
すぐさま翼を広げ飛び立ってしまったキュリオの引く銀色の光をアオイはじっと見つめている。
「お父様…」
(…魔術が使えなくても何か出来る事があるはず…)
「せめて取り残された人がいないかだけでも…」
浴衣の帯を少し緩め、裾を楽にしたアオイはキュリオの結界に守られた館を勢いよく飛び出して行った―――。