狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】

アランの行方Ⅰ

「あぁんっっ!!またアラン先生見失っちゃったぁ!!」


アケミが心底悔しそうに足を踏み鳴らしている。アランのために時間をかけて結い上げた髪も浴衣も、彼の目に触れることなく無駄に終わろうとしていたからだ。


「よりにもよって女子生徒と姿を消すだなんて…」


(しかもアオイさん…まさか彼女と何か…)


悔しそうに親指の爪を噛むのは同じく着飾ってアランを待っていたトモミだった。
そして彼女は馬車での一連のやりとりを思い出し…アランの言葉と態度に違和感を強めていく。



"私はよくってよ？アラン先生に食べられちゃいたいですわ…”


"……"


"そういう事は他でやれよ！健全な生徒の前でやることじゃねぇだろ！！"


"あらぁ？シュウ君…アオイさんとそんな関係になりたいなら先生たち応援してあげるのにぃ…"


"んー…シュウ君、この旅行で大人の階段のぼっちゃう？"


"誰がお前らの力なんか借りるかっ!!俺は正々堂々とアオイに結婚を申し込むぜっ!!"


"えっ！？"


"…小僧…黙って聞いていれば…"



(いつも冷たいアラン先生が熱くなるなんて…)