狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】

ひとつの別れⅡ

容赦なく浴びせられる大和の言葉がより一層息苦しさに拍車をかけていく。



(私が…無力、だから…?)



「…ハァッ…ァッ…」



アオイは吸う力も失せた弱々しい呼吸で息を吐き出し、それでもなお懸命に記憶の泉に手を伸ばす。




(…も、う…すこ、し…)






"私を…選んでくださるのですか?"






"えぇ、それだけで十分です…"







浮かんでは消える懐かしい記憶の欠片。しかし…その言葉を最後にアオイの抵抗も虚しく、ただの人である彼女の体はドサリと地に崩れ落ちた。

そして薄れゆく意識の中で感じるのは降り注ぐ氷の冷気と…誰かがその身を抱きしめる腕の強さ。そして…







「…もう…いいんですアオイさん。これ以上貴方を苦しめたくはない―――」







(…私たちに関われば関わるほど貴方が危険に晒されていく…なら私は……)











「これで…さよならです」












"貴方に出会えて、本当によかった…っ……"










胸の奥から血を吐き出すような悲痛な男の声だった―――。





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