狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
消えた剣士
その頃…城に待機していたガーラントはひとりの男を探し城中を駆け回っている。
「ガーラント様!」
向こう側からやってきたベテランの剣士が眉間に皺を寄せながら首を横に振っていた。
「やはりおらんか…」
立ち止まった大魔導師は視線を外へ向けると大きなため息をついた。
(あやつ…キュリオ様の命(めい)に背(そむ)きおったな…)
キュリオの知らせを受け城内が慌ただしく成り始めた頃から彼の姿を見たものはいなく、彼の愛馬も共に消えてしまっているのだ。
「あまり無茶をされても庇いきれんぞ…カイ」
無鉄砲な彼の行動は信念や情熱に基づいたものだとわかっているが、誰かが手綱をひいていなければすぐ暴走してしまう。そして止められるとわかっているカイ自身、誰かに相談する事もない。ただ幼い姫のため…そしてその秘めた想いゆえに突き進む。
(最近のキュリオ様は姫様絡みじゃとすぐ感情的になってしまわれる…)
幼い姫を迎い入れてからというもの、かつてのキュリオとは似ても似つかないほどに感情を曝け出すようになったのだ。それはとても人間らしく、より自然体に近いものなのだと喜ぶべきなのかもしれない。
しかし…些か度が過ぎる気もする。
ようやく城から出て外の世界へ羽ばたいた姫を常に目の届くところへ置いておきたいがために、学園の教師にまでなってしまうとは誰が予想できただろう。
(もし姫様の時間をやり直すことが出来たならキュリオ様は学園の存在を隠し続けるやもしれん)
「そうしたところでいつかは変わってしまう気がするがのぉ…」
(いや…すべては出会ったその瞬間から始まっているのかもしれんな…)
遠くにいるであろう二人の姿を思い浮かべながら一抹の不安を抱えた大魔導師だった―――。
「ガーラント様!」
向こう側からやってきたベテランの剣士が眉間に皺を寄せながら首を横に振っていた。
「やはりおらんか…」
立ち止まった大魔導師は視線を外へ向けると大きなため息をついた。
(あやつ…キュリオ様の命(めい)に背(そむ)きおったな…)
キュリオの知らせを受け城内が慌ただしく成り始めた頃から彼の姿を見たものはいなく、彼の愛馬も共に消えてしまっているのだ。
「あまり無茶をされても庇いきれんぞ…カイ」
無鉄砲な彼の行動は信念や情熱に基づいたものだとわかっているが、誰かが手綱をひいていなければすぐ暴走してしまう。そして止められるとわかっているカイ自身、誰かに相談する事もない。ただ幼い姫のため…そしてその秘めた想いゆえに突き進む。
(最近のキュリオ様は姫様絡みじゃとすぐ感情的になってしまわれる…)
幼い姫を迎い入れてからというもの、かつてのキュリオとは似ても似つかないほどに感情を曝け出すようになったのだ。それはとても人間らしく、より自然体に近いものなのだと喜ぶべきなのかもしれない。
しかし…些か度が過ぎる気もする。
ようやく城から出て外の世界へ羽ばたいた姫を常に目の届くところへ置いておきたいがために、学園の教師にまでなってしまうとは誰が予想できただろう。
(もし姫様の時間をやり直すことが出来たならキュリオ様は学園の存在を隠し続けるやもしれん)
「そうしたところでいつかは変わってしまう気がするがのぉ…」
(いや…すべては出会ったその瞬間から始まっているのかもしれんな…)
遠くにいるであろう二人の姿を思い浮かべながら一抹の不安を抱えた大魔導師だった―――。