狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
別れの後に…Ⅱ
「よ、かった…」
アオイの身を心配したカイが怪我の有無を確認する。足元に痛々しい靴擦れのような傷はあるものの、その身に纏う着物もそれほど汚れた様子はなかった。
「…煙にまかれたわけではなさそうだ」
(なぜこんな場所に…?)
あたりを見回してみると他に架かるいくつもの橋よりもこの橋は大きく、なぜか石造りになっていた。
「誰かがアオイ様を運んでくださったのだろうか…」
炎の移らない石橋にとはよく考えたものだが、向こう岸まで運ばなかったところを見ると…
「…まさか引き返したのか?一体誰が…」
焼け爛(ただ)れた街を見渡していると、腕の中の姫が何かを呟いた。
「……、」
「…アオイ様?」
「姫様!俺がわかりますか!?」
顔にかかる長い髪を指先で撫でると…
濡れた感触に目を見張る。
「…せん、せ……」
彼女は泣いていた。
ただうわ言のように"先生"とだけ呟いた唇が声にならない声を紡ぎだす。
"ごめんなさい…センスイ先生…"
アオイの身を心配したカイが怪我の有無を確認する。足元に痛々しい靴擦れのような傷はあるものの、その身に纏う着物もそれほど汚れた様子はなかった。
「…煙にまかれたわけではなさそうだ」
(なぜこんな場所に…?)
あたりを見回してみると他に架かるいくつもの橋よりもこの橋は大きく、なぜか石造りになっていた。
「誰かがアオイ様を運んでくださったのだろうか…」
炎の移らない石橋にとはよく考えたものだが、向こう岸まで運ばなかったところを見ると…
「…まさか引き返したのか?一体誰が…」
焼け爛(ただ)れた街を見渡していると、腕の中の姫が何かを呟いた。
「……、」
「…アオイ様?」
「姫様!俺がわかりますか!?」
顔にかかる長い髪を指先で撫でると…
濡れた感触に目を見張る。
「…せん、せ……」
彼女は泣いていた。
ただうわ言のように"先生"とだけ呟いた唇が声にならない声を紡ぎだす。
"ごめんなさい…センスイ先生…"