狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
Ⅷ―ⅵ 同行者
その言葉を聞いたブラストは驚きに目を見開き、挙動が危うくなる。
「お、お言葉ですがガーラント殿…、カイは見た通りの悪ガキでして…使者など勤まるわけがが、が…」
「これブラスト、落ち着きなさい。
キュリオ様の書簡を各国の門番に届けるだけじゃよ。それに魔導師から選出した使者にもこの少年と同じくらいの子がおる」
「書簡を…ですか?何か大事(だいじ)でも…」
「すべてはキュリオ様の御心のままに、じゃよ」
キュリオが直接皆に言わないかぎりガーラントは他言しない。口が堅いのも、彼がキュリオに信頼されている要因の一つだった。
「それに心配ならおぬしも同行すればよい」
と含みのある笑みを浮かべる大魔導師だった。