狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
見逃せないものⅠ
西の館へ戻ってきたキュリオの腕に抱かれているアオイは今だに目を覚ますことなく彼のベッドで瞳を閉じている。
「……」
(アオイ…なぜ私の言いつけを守れない)
愛娘の頬をなぞるキュリオの手が苛立ちを隠せずにきつく握りしめられた。身を守る術を持たないアオイが火の中に飛び込むなど、万が一の事があってからでは遅いのだ。
痛々しく血の滲む足先へとゆっくり移動したキュリオが慈しむように口付を落とすと淡い癒しの光が広がり、両足の傷を消し去っていく。
だが、怪我を負ってまで街に出てきたのにはそれなりの理由があるはずだ。
(優しいアオイのことだ。逃げ惑う民の助けになろうとしたのだろうな…)
彼女が無事だった今、百歩譲ってそれが人としての当然の行いだと言われれば許すほかないのだが…
「しかし…この涙の痕を見過ごすことは出来ない」
(一体何が…なぜあのような場所にアオイは倒れていた?)
次々と起こる不可解な出来事に巻き込まれていく少女がいつか取り返しのつかない危険にさらされそうな気がしてならないキュリオ。
「お前が目を覚ましたら聞きたいことがある…それまでゆっくりおやすみ」
堅く閉じられた娘の瞼に口付を落とし、シーツをかけ直したキュリオは静かに部屋を出ていく。
「……」
(アオイ…なぜ私の言いつけを守れない)
愛娘の頬をなぞるキュリオの手が苛立ちを隠せずにきつく握りしめられた。身を守る術を持たないアオイが火の中に飛び込むなど、万が一の事があってからでは遅いのだ。
痛々しく血の滲む足先へとゆっくり移動したキュリオが慈しむように口付を落とすと淡い癒しの光が広がり、両足の傷を消し去っていく。
だが、怪我を負ってまで街に出てきたのにはそれなりの理由があるはずだ。
(優しいアオイのことだ。逃げ惑う民の助けになろうとしたのだろうな…)
彼女が無事だった今、百歩譲ってそれが人としての当然の行いだと言われれば許すほかないのだが…
「しかし…この涙の痕を見過ごすことは出来ない」
(一体何が…なぜあのような場所にアオイは倒れていた?)
次々と起こる不可解な出来事に巻き込まれていく少女がいつか取り返しのつかない危険にさらされそうな気がしてならないキュリオ。
「お前が目を覚ましたら聞きたいことがある…それまでゆっくりおやすみ」
堅く閉じられた娘の瞼に口付を落とし、シーツをかけ直したキュリオは静かに部屋を出ていく。