狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】

悪夢Ⅰ

"…もう…いいんですアオイさん。これ以上貴方を苦しめたくはない―――"




自分の体を抱きしめていた温かい手が悲しい言葉とともに離れていく。




―――お願い…!私が苦しんでいるなんて思わないで!!―――…





"これで…さよならです"






そう残して背を向けてしまった青年の頬を濡らす涙がアオイの胸を激しく締め付ける。






(こんな一方的なお別れなんて嫌っ!…勝手に決めないで…っ…)





"貴方に出会えて、本当によかった…っ……"





―――…っ待って!!!






大きく手を伸ばしたアオイの手は空を掴み…ダラリと下がる直前に別のぬくもりに包まれた。



「…アオイ姫様!大丈夫ですか?」



「……?」



聞き慣れた青年の声にアオイの意識がゆっくり浮上していく。
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