狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
Ⅷ―ⅶ 五人の使者
――アレスたち3人の魔導師がガーラントを待ちながら他愛もない話をしていると…向こう側から穏やかな声が響いてきた。
「ふぉっふぉっ、待たせたのぉ」
振り返ったアレスは声のしたほうへと駆け寄った。そしてガーラントの背後にいる大柄の男と…自分と同い年位の少年を視界にとらえる。
「やぁアレス!同行する魔導師は君を含め後ろの2人かな?剣士からは私、ブラストとカイが行く。よろしくな!」
「教官!こちらこそよろしくお願いいたします!」
握手を求めてくる日焼けしたブラスト教官の手を握ると手の平はゴツゴツし、鍛えられた者だとわかるくらい骨が太くしっかりしていた。比べて魔導師は頭脳が武器となるため、彼らの手は白魚のように色白でしっとりとしている綺麗な手だった。
すると…横から顔を出してきたカイと呼ばれる少年はアレスをじっと見つめて口を開いた。
「へー、お前がじぃさんの言ってた天才魔導師かぁ」
「え…?」
驚きに目を見開いたアレス。すると後方からも微笑ましい眼差しが注がれる。