狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】

夢の終わり

「夢が明ける…か」



朝日など顔も出さないこの世界で暗く重い夜空が溶けていく様を見上げていた九条が小さく呟いた。



「……」



(悠久のアオイ姫…力のないあの娘が一体何を齎(もたら)す…)






「動かすのは人の心か…それとも―――…」






そして夢が明ける様子を寂しそうに見つめていた人物がもう一人。



「アオイさんがいた"この世界"も最後ですね…」



「あとは…力が戻る前にセシエル殿が攻め込んで来なければよいのですが…」



(アオイさんさえいなければ彼は全力で向かってくる…)



「少し前の私なら刺し違えても構わないと思っていたのでしょうけれど…彼女が見せてくれた希望の光の分、もう少し抗ってみたくなりました」








「悠久のセシエル殿、そしてキュリオ殿…次にお会いしたとき私たちの力の全てをお見せいたしましょう」












「千年王を葬った私たちの強さがどれほどのものか…身を以て知るがいい」







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