狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】

もうひとつの攻防Ⅱ

『…行ったか？ミキ』



『んー…ミハル先生とアケミ先生は行ったみたい』



扉に耳をあて、廊下の様子を伺っているのはアオイの親友・ミキと…

なぜか座布団で応戦しようと後方に待機していたシュウの姿があった。



『…ってアンタねぇ！先生たちが入ってきたらそれで攻撃するつもり！？』



『あったりめぇだろ！！他に武器がねぇんだからしょうがないだろ！？とりあえずお前声でけぇよ！中にいんのバレんだろ！！』



『あん！？消灯過ぎてるんだから居て当たり前じゃん！！！』



『つまり…あれからアオイずっと戻ってきてないんだよな…』



『うん…先生たちの慌てよう、たぶんアラン先生も戻ってないんだ…』



厳密にいうとアランが戻ってきていないかどうかを女教師たちは確認していない。

なぜなら…ただ姿を見ていないというだけで彼の部屋を訪ねてしまえば、アランがそこに居た場合しばらく口をきいてもらえなくなる可能性があるからだ。



『…だな。それに向こうも静かになったし…あいつら諦めたんじゃねぇの？』



『シュウ油断は禁物だよ…息を潜めてるかもしれないからね』



二人揃って扉に耳を近づけようとすると…




―――ｺﾝｺﾝ…