狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
珍しくもない訪問者Ⅱ
「…まじかよっ!?」
ガバっと勢いよく立ち上がったティーダにマダラは…
「信じるな。お前をどかせるに効果的な言葉を使ったまでだ」
「お、お前なぁっ!!」
「ぶっ!!」
一枚も二枚も上手なマダラに今日も太刀打ち出来ずにいるティーダを見た従者がたまらず吹きだしている。
「…お前の教育なってねぇな!!無礼な従者は王の責任だぜっ!!」
笑われたことがよほど悔しかったのかティーダの頬はほんのり赤く染まっていた。
「笑われる方に原因がある事にいい加減気づいたらどうだ」
自分の椅子に腰を落ち着けたマダラはいつものように神具のそれを自分の肩に寄りかからせた。
「ったく……で?"狩り"はもういいのかよ。今日の獲物はなんだ?」
マダラの様子から従者の男と同じことを感じていたティーダの目付きがガラリとかわる。
「……」
「あーあーあー!!シカトかよ!!」
暇つぶしに来ていると思われがちなティーダだが、こう見えてちゃんとした理由があったのだ。
しかし無言のマダラ。
不貞腐れたヴァンパイアの王は別に用意された椅子にドカッと座ると苛立ったように長い両足をテーブルの上に投げ出した。
「悠久の女をひとり」
変わらず無表情のまま言葉を発したマダラにティーダの瞳がカッと見開かれた。
「…ってめぇっ!!アオイじゃねぇだろうなっっ!?もしそうだったらブッ殺すぞっっっ!!!」