狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
蕾の見る夢Ⅲ
一行に降りやまない暗く重い空を見上げながら、懐かしい日の光を探すようにキュリオが遠くを見つめていると…温かなキュリオのぬくもりに包まれているアオイもまた一点を見つめるように視線をじっと固定させている。
「……」
次から次へと巨大な窓ガラスに流れて落ちる雨の雫から目が離せない。
まるで誰かが泣いているような…そんな気がしてならないからだ。
"―――アオイさん―――…"
「…っ…」
「アオイ?」
やがて…小さく背を震わせた腕の中の幼子に異変を感じたキュリオがその名前を呼ぶが…
「眠ってしまったか…」
少し残念そうなキュリオの視線が幼子にあたたかく降り注ぐ。
すると、大人しく寝息を立てて目を閉じているアオイの目尻から一筋の涙が零れた。
「アオイ…お前はどんなことがあっても必ず私が守る。だから…」
「…決してこの腕から逃げないと約束しておくれ」
(アオイ…私だけの愛しい花。強すぎる日差しも、その身を傷つける雨や風も届かぬ場所へお前を隠してしまいたい…)
簡単に溢れてしまいそうなほどの愛を込めたキュリオの唇が、まるで花の蜜を求める蝶のようにその頬を甘くなぞった―――。
「……」
次から次へと巨大な窓ガラスに流れて落ちる雨の雫から目が離せない。
まるで誰かが泣いているような…そんな気がしてならないからだ。
"―――アオイさん―――…"
「…っ…」
「アオイ?」
やがて…小さく背を震わせた腕の中の幼子に異変を感じたキュリオがその名前を呼ぶが…
「眠ってしまったか…」
少し残念そうなキュリオの視線が幼子にあたたかく降り注ぐ。
すると、大人しく寝息を立てて目を閉じているアオイの目尻から一筋の涙が零れた。
「アオイ…お前はどんなことがあっても必ず私が守る。だから…」
「…決してこの腕から逃げないと約束しておくれ」
(アオイ…私だけの愛しい花。強すぎる日差しも、その身を傷つける雨や風も届かぬ場所へお前を隠してしまいたい…)
簡単に溢れてしまいそうなほどの愛を込めたキュリオの唇が、まるで花の蜜を求める蝶のようにその頬を甘くなぞった―――。