狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
Ⅷ―ⅹ 守る者と守られる者
ガーラントは頷き真剣な表情を崩さないまま話を続ける。
「左様(さよう)。王が国を支えるのなら、その王を支えるのが儂らの役目じゃ。もちろんあのお方が守ろうとしている者は儂らも守らねばならん」
「ああ、互いを守るっていうのはすごく重要なんだ。力がある、なしよりも心の拠所(よりどころ)的な意味合いでな。王が全てを背負ってひどい結末を迎えた国があったらしいからな…」
ブラストは珍しく遠くを見るような目つきで静かに語った。
「なんだよ、おっさん心当たりでもあんのかよ」
いつにないブラストの表情にカイが眉間に皺を寄せる。
「ん?あー、よく覚えてないが昔の書物かなんかで見た気がしてな!!」
またガハハと笑ったブラストにカイはため息をついた。その表情をみたアレスが小さく笑っている。
「私もそこまで深く考えたことはなかった。ただキュリオ様のお力になりたいと思って魔術の勉強に励んでいたいただけだから…」
控えめに言葉を発したアレスだが、カイは大きなため息をついた。
「お前…嫌味だなーっ!!勉強してただけで天才になれたのかよ!」
そんなカイをみて笑いに包まれた一同。しかし、小さな彼らにとってこの場での会話はその後の考えの大きな基盤となるのだった―――