狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
Ⅸ 王の従者
「うむ。ではそろそろキュリオ様の元に行くとしようかのぉ」
ガーラントが一行を眺めるとそれぞれ気を引き締めるように背筋を伸ばした。そして彼を先頭にキュリオの待つ広場へと歩みをすすめる。すると、カイが隣のアレスへ小声で話しかけてきた。
『なぁ、お前王様に会ったことあるか?』
気が付いたアレスは耳を近づけ小さく頷く。
『私は先程お会いしたよ。君たちと合流する前に先生とご挨拶に行ったから』
『へー!俺まだ会ったことねぇんだよな!!』
だんだんカイの声が大きくなってきてしまい、ブラストにジロリと睨まれ肩をすくめる。
『さっきじぃさんとブラストのおっさんの言ってた事お前理解できたか?』
アレスは教官に睨まれても会話を続けようとするカイに驚きながら苦笑し答えた。
『ちょっと難しい話だったけど…要するに、キュリオ様のお心を支える方法を自分なりに考えてみろってことさ。色々なカタチがあるはずだからね』
『あ!そういうことかっ!!』
アレスの表現はガーラントやブラストの遠い言い回しよりも、カイには簡潔でわかりやすく"やっぱりこいつは天才だ!"と内心感心したのだった。