狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
Ⅸ―ⅷ 加護の灯
キュリオの手元にある輝く羽は、ランプのような作りになっているガラスの飾りの中にゆっくり吸い込まれていく。そして、ふわりと浮いていて光を放つその姿はなんとも幻想的な光景だった。
「キュリオ様!加護の灯を私に持たせてくださいませんかっ!!」
そう声をあげたのはアレスだった。ギョっとしたようにカイがアレスを見つめている。
すると、カイを可愛がっているブラストがちらりと彼を振り返った。
「カイ、お前はいいのか?言っとくが使者として指名されるのは数年に一握りの者だけだ。それにあの灯を掲げることが出来るチャンスなんて滅多にない事だからな」
「そ、そうなのか…。俺もやってみたいな…」
ブラストはニカッと満面の笑みを浮かべるとカイとアレスの背中を押した。
「よし!二人で行ってこいっ!!行きと帰りにわけて持てばいいだろ!」
「はいっ!」
「おうっ!!」
元気よく返事したアレスとカイは"加護の灯"をもつキュリオの元へと走って行く。
「では二人にお願いしよう。これを持つ者は先頭を歩くんだよ」
最初はアレスが持つことになり、その後ろをテトラともうひとりの魔導師。そして最後尾はカイとブラストが並ぶ。
「お前は最後尾じゃというたのにのぉ…」