薫子様、一大事でございます!
「……何か勘違いしてるんだろ」
勘違い?
ジーっと北見さんを見つめる。
すると、不自然に目が逸らされた。
……そっか。
照れくさいんだ、きっと。
「ありがとうございました、北見さん」
「なんだよ、違うって言ってるだろ?」
「いいんです。とにかく、ありがとうございました」
あんまり深く詮索してヘソを曲げられたら大変。
お礼だけに留めて、この件は終わりにすることにしたのだった。
やっぱり、北見さんにここへ残ってもらったことは大正解だったんだわ。
自分の英断に鼻が高くなった。