薫子様、一大事でございます!

「……何か勘違いしてるんだろ」


勘違い?


ジーっと北見さんを見つめる。

すると、不自然に目が逸らされた。


……そっか。
照れくさいんだ、きっと。


「ありがとうございました、北見さん」

「なんだよ、違うって言ってるだろ?」

「いいんです。とにかく、ありがとうございました」


あんまり深く詮索してヘソを曲げられたら大変。

お礼だけに留めて、この件は終わりにすることにしたのだった。


やっぱり、北見さんにここへ残ってもらったことは大正解だったんだわ。


自分の英断に鼻が高くなった。

< 130 / 531 >

この作品をシェア

pagetop