薫子様、一大事でございます!

「ただいま」


北見さんと二人で事務所のドアを開けるなり、滝山が弾かれたようにソファから立ち上がる。


……そんなに心配だったのかしら。


ヘルメットを手渡そうとしたその時


「薫子様、一大事でございますぞ!」


大きな目を更に見開いた滝山が、今にも飛び上がりそうに私へと駆け寄った。


「どうしたの?」

「依頼でございます!」


……依頼。

依頼、ね。


――え!?
仕事の依頼!?

< 131 / 531 >

この作品をシェア

pagetop