薫子様、一大事でございます!

とにかく、話を聞かなくちゃ。


「お待たせいたしました。私はここの代表の二階堂です」


名刺と共に挨拶を済ませる。


目の前に座る30代前半の女性は、か細い声で「星野と申します」と頭を下げた。


「早速ですが、今日はどういったご依頼でしょうか?」


今回もペットの捜索かな。

そんなことを考えながら星野さんの言葉を待つ。


「付き合っている彼の浮気調査をお願いしたいんです」

「恋人の、ですか?」


訊ねた私に切実なる瞳で頷いた。


「婚約されているんですか?」

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