薫子様、一大事でございます！

「あ、それから……」


デスクへ数歩下がり、置いてあった紙袋を取って戻ると


「ご指示いただいた携帯電話を買って参りました」


ガサゴソと中を漁り、箱を二つ取り出した。


滝山ってば、フットワークが軽い。


「早速行っていただいてありがとうございました」

「いえいえ、お礼なんて。準備不足でお恥ずかしい限りでございます。誠に勝手ながら、薫子様の携帯にも事務所と私、それから芙美さんの番号は登録しておきました」


なんて気の利く。


箱から出した携帯を私に手渡した。


「ありがとう」


あとは、北見さんの番号も登録しておかなくちゃ。