薫子様、一大事でございます!

それじゃ、こっち?
別のボタンをもう一度ピコッ。


――これも違う。


スマホに変更して2年。
携帯電話なんてしばらく使っていなかったから、かえって操作が分からない。


「大丈夫でございますか? 薫子様。私が登録いたしましょうか?」

「だ、大丈夫よ」


ちょっとした物忘れだから。
触っているうちに思い出すわ。



……ん?



不意に聞こえた、クククと堪えたような笑い声。


滝山じゃないとすれば、北見さん以外にいないわけで……。

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