薫子様、一大事でございます!
尾行は落第点
井上さんの調査を始めて4日。
星野さん以外の女性と会うこともなければ、特に怪しい行動を取るようなこともなかった。
そして初めて迎えた休日。
朝から井上さんを張り込むことになった私たちは、いつもより長丁場になるだろうと滝山からおにぎりを持たされ、井上さんのアパート前へと来ていた。
「どこかに出掛けるでしょうか」
「どうかな」
梅雨の晴れ間。
お出掛け日和だけれど、昨日の星野さん情報では特に約束はしていないということだった。
このまま何事もなく、星野さんの勘違いで終わることを祈りつつ、北見さんと二人黙って張り込んでいると、井上さんが部屋から出てきたのだった。
半袖のシャツにチノパンというスタイル。
ちょっとコンビニへというよりは、少し小綺麗な格好だった。