薫子様、一大事でございます!
「これで、今まで探偵事務所なんてやっていたんだからなぁ」
“探偵”というところだけ声のトーンを押さえる。
携帯は持っていない、ホームページも作っていない、おまけにSuicaまで。
北見さんからしたら信じられないことのオンパレードなのかもしれない。
「ですから、実績はゼロですってば」
モモだって、見つけたのは北見さんだし。
「自信満々に言うことじゃないだろ」
「事実ですから」
「お? 開き直ったな?」
「最初から素直に認めてますよ? でも、これからは頑張ります。だから、いろいろ教えてくださいね?」
「教えるも何も、一般常識だ」
「それです」
北見さんの目の前に人差し指を向ける。