薫子様、一大事でございます!
北見さんは、何だよと眉間にシワを寄せた。
「私、どうも一般常識がないみたいで」
「自覚なし?」
すぐに伸びた眉間のシワ。
代わりにからかいの色が目に浮かんだ。
「自覚はあるような、ないような」
私なりに世間を知っているつもりではいるけれど。
それは、ものすごーく狭い世界らしく。
滝山や芙美さんから言わせれば、全然足りていないようで。
北見さんもそうだろうし。
「降りるぞ」
――え?
そうだった。
尾行中なんだ。