薫子様、一大事でございます!

北見さんと顔を見合わせた。


テラスの大きな窓から井上さんの様子を窺う。

店員と何か言葉を交わしながら井上さんが向かったテーブルには――……。


「……嘘」

「ビンゴだな」


同年代くらいの女性が座っていたのだった。


お互いに軽く手を上げて挨拶。

井上さんは、その女性の前へ腰を下ろした。



……浮気だったの?


星野さんの思い過ごしじゃなかったの……?



ドキドキと鼓動が嫌な音を刻む。


「俺たちも入るぞ」

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