薫子様、一大事でございます!
井上さんが、他の女性と密会しているという事実だけで私には十分だった。
「どうした?」
「……いえ」
「俺の言った通りでショックか?」
「……はい」
「でも、あれが事実だ」
認めたくなかった。
そんな変な統計なんて、あてにならないと思いたかった。
でも、どうして?
ちゃんと恋人がいるのに。
注文した飲み物そっちのけで、パンフレットのようなものをテーブルに広げ、親密そうに話をする二人。
そんな姿を見ているうちに、ある思いが頭をもたげてきた。
――井上さんに、直接話を聞きたい。