薫子様、一大事でございます!
思わぬ拾いモノ
「それでは行くといたしましょうか」
午後8時。
滝山と二人、モモちゃんを探すべく事務所を後にした。
犬も猫も亀も、今まで捜索依頼のあった動物は、ことごとく見つけられなかったけれど、ここらでそろそろ実績を作っておかないとどうにもやりきれない。
モモちゃんの捕獲は、私たち二人の切なる願いだった。
猫は夜行性。
探すならば、活動的な夜だろう。
滝山の判断に従い、夜の中へと足を進める。
けれど、いつものごとく、どこをどう探したらいいのか、まったく見当もつかないのだった。
「モモちゃーん」
なんとはなしに名前を呼んでみたところで、返事をしてくれるわけもなく。