薫子様、一大事でございます!
「それで、どうしてお一人で?」
「あのね……」
カフェでのひとコマを話して聞かせると、滝山は「ほぉ、そのようなことが……」と唸り声を上げた。
「さすがは北見さんでございますね。薫子様と私の二人だったら、私まで一緒に井上さんに問いただしていたやも知れません」
「……北見さんがいてくれて、本当によかったわ」
情けなさすぎる。
言われるまで、そんなことに気づかないなんて。
滝山と二人並んで、大きな溜息を漏らすのだった。