薫子様、一大事でございます!
――――――――
――――――
北見さんが戻ってきたのは、夜の7時過ぎのことだった。
梅雨の晴れ間だと油断していたせいで、北見さんは途中降られた雨にずぶ濡れ状態だった。
手渡したタオルでゴシゴシと頭を拭う。
「――ヘックショーン!」
飛び出たクシャミ。
「大丈夫ですか!?」
ティッシュも続けて渡すと
「ったく、散々だよ」
と窓から外を睨みつけてボヤく。
「風邪をひいたら大変ですぞ。ささ、早いところ着替えてください」