薫子様、一大事でございます!
北見さんには感心してしまう。
私だったらきっと、井上さんを追い続けることくらいしか思いつかないもの。
「彼女の名前は、上原璃子、31歳」
「もう調べたんですか!?」
「まあね」
ちょっと自慢げに北見さんが答える。
こんな時間まで掛かったのは、そこまで調べていたからだったんだ。
「井上さんとは高校の同級生らしい」
「なぁんだ。それじゃ、ただのお友達じゃないですか」
はぁ、よかった、と胸を撫で下ろす。
ニコニコ顔で隣の滝山を見ると、複雑な表情をしていた。
……ん?
どうしたのかしら。