薫子様、一大事でございます!

「そんなに大真面目に悩むなよ」

「だって北見さんが」

「それより、それ……」


北見さんが私の傍らを指差す。


そこ……?


いつの間に現れたのか、トレーが1枚置かれていたのだった。


その上には、ラップをかけられたお椀がひとつ。
雑炊だ。


知らぬ間に滝山が持ってきてくれたようだ。


「食べますか?」

「もちろん」


そう言った後、北見さんは「銀さんが作ったものだしな」とボソッと付け加えた。


「そんなこと言うなら、あげませんよ?」

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