薫子様、一大事でございます!

「カコちゃんは、人を信じすぎるところがあるから」

「……そうでしょうか」

「よく知りもしない俺のことをここへ置いたり、」

「最初は誰だって、知らない者同士ですから」

「男である俺のそばで、無防備に寝てみたり、」

「夕べ、あまり眠れなかったので」


星野さんへ報告するのかと思うと緊張してしまって。


「――とにかく。あまり人を信用しすぎると怖い目に遭うぞ」


怖い目って、一体どんな目だろう。

なんて呑気に考えてみる。


「分かりました。北見さんの言うことは鵜呑みにしません」

「……あのねぇ」


北見さんはポリポリと頬を掻いた。


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