薫子様、一大事でございます!
「母方の祖母に育てられたようなものだ」
「……お父様は?」
「父親はいない」
更なる衝撃。
お母様よりもっと早く亡くなった?
それとも、シングルマザーだった?
疑問符が浮かんだけれど、さすがにそんなことは聞けなくて。
「……そうでしたか」
それしか言えなかった。
私をこの部屋に引き留めたのは、そういうことが背景にあって、北見さんも気づかないうちに寂しかったからなのかもしれない。
一人で寝込んでいるうちに、心細くなったのかも。
「おいおい、何て顔してんだよ」
「だって……」