薫子様、一大事でございます!
私の手にアイスとスプーンを載せ、自分も蓋を開けた。
芙美さんの言う通りだわ。
悪事は負の空気を好むって言うし。
同じ考えるなら、マイナスのことよりもプラスの方がいいに決まってる。
手渡されたアイスの蓋をペリリと剥がした。
「はい、これはあんたたちの分だよ」
芙美さんはそう言って、そばに寄って来たモモとクロへも同じように与えた。
「えっ、いいんですか? 芙美さん」
「モモの好物はバニラアイスだって言ってなかったかい?」
「そうなんです。珍しい猫ですよね」
モモが食べるから、クロも真似をして食べるようになったのだった。
「こう暑くちゃ、猫だって堪らないよ。全身毛皮なんだからね」