薫子様、一大事でございます!
モモもクロも芙美さんに蓋を開けてもらうと、待ってましたとばかりに飛びついた。
美味しそうに貪る二匹を見て、つい笑みがこぼれる。
「薫子ちゃんは、北見さんと気が合うみたいだね」
「え? ……そうですか?」
私にはそうは思えないけれど……。
北見さんから言われるのは、いつだって「普通じゃない」なんていう否定的なことばかり。
私のことは、珍獣か何かみたいに思ってるようだし。
何かにつけて言い合いになることばかり。
……言い負かされてしまうのは私だけれど。
「滝山さんが言っていたよ。あんまり仲が良いから、二人のやり取りの間には入れないって」
「滝山がそんなことを?」
「ちょっと寂しそうに言うもんだから、自分の歳を考えなさいって言ってやったよ。若者の邪魔はしちゃいけないよってね」