薫子様、一大事でございます!
「いやー、暑いこと暑いこと」
事務所のドアが開けられると同時に、北見さんが片手で顔を仰ぎながら中へ入ってきた。
話していた内容だけに、ドッキーンと鼓動が大きく弾む。
芙美さんが変なことを言い出したせいで、顔も見られなかった。
「おっ、アイスじゃないか」
「北見さんも食べるかい? それなら冷凍庫に入ってるから食べておくれ」
「ありがとうございます。お前たちももらったのか。よかったな」
モモとクロの頭を撫でる。
大好きな北見さんが帰ってきて嬉しいのか、二匹とも食べるのを止めて、揃ってミャアと鳴き声を上げた。
冷凍庫からアイスクリームを持ってくると、北見さんは私の向かいに腰を下ろした。
「クーラーの効いた部屋で食べるアイスは格別だね」